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Dry_analysis.md

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タイトル

特定のGO termがアノテーションされた遺伝子群の発現差の可視化

著者

  • 広田 喜一 (Hirota, Kiichi)
  • 坊農 秀雅 (Bono, Hidemasa)

所属

  • 広田: 関西医科大学 附属生命医学研究所 侵襲反応制御部門
  • 坊農: 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)

mail address

  • 広田: hif1@mac.com
  • 坊農: bono@dbcls.rois.ac.jp

GitHub

  • 広田: khirota-kyt
  • 坊農: bonohu

論文のdoi

doi: 10.1038/s41598-018-27220-8

図の番号

Figure 6b

図のタイトル

Gene set enrichment analysis of RCC4cells. GO:0061621 (canonical glycolysis) in RCC4-EV and RCC4-VHL cells.

fig6b

論文の概要

麻酔 および集中治療領域で広く用いられている全身麻酔・鎮静用剤 プロポフォール(商品名「ディプリバン」 「プロポフォール」など)を投与した際に稀に生じる副作用、プロポフォール注入症候群・Propofol Infusion Syndrome(以下「PRIS」)の発症メカニズムの基盤として、プロポフォールがミトコンドリア機能の抑制をもたらしその結果発生する活性酸素種(ROS)が細胞死をもたらす現象を見出し報告していたが、今回の研究で低酸素誘導性因子1(hypoxia-inducible factor 1、以下「HIF-1」)の遺伝子工学的または薬理学的な人為的な活性化により細胞死を低減し得ることを示した。

RCC4細胞は腎臓癌由来の細胞株である。VHL(Von Hippel-Lindau; フォンヒッペル・リンドウ)遺伝子が欠損していて転写因子hypoxia-inducible factorが通常状態でも活性化しているという性質をもっている。このRCC4細胞に遺伝子工学的にVHLを導入した細胞(RCC4-VHL細胞)と元のRCC4-EV細胞のプロポフォール毒性を比較したところRCC4細胞ではプロポフォールによる細胞死が起こりにくいことが明らかになった。

この現象の分子生物学的な機序を検討したところRCC4-EV細胞では転写因子HIF-1の持続的に活性化よりGLUT1・LDHAなどの発現誘導が起こりグルコースがピルビン酸→乳酸へと代謝される解糖系が優位な代謝経路に変換されている事、さらにHIF-1依存的なPDK1の発現亢進によりピルビン酸がミトコンドリアに運ばれアセチルCoAに変換される経路が抑制されるため、ミトコンドリア呼吸鎖への電子の供給が抑制されている事を見出した。 すなわちRCC4細胞で起こっているHIF-1活性化により細胞はミトコンドリア呼吸に頼らない代謝状態にリプログラミングされている事が判明した。

これらの実験事実によりプロポフォールのミトコンドリア機能障害による呼吸鎖からの電子の漏れ出しが低減され結果としてプロポフォールによる活性酸素種(ROS)産生が抑制され細胞障害が軽減の機序であると結論づけた。

論文における図の位置づけ

HIF-1の持続活性化が、細胞の遺伝子発現とくに解糖系と関連ついた遺伝子発現に与える影響をgene ontology(GO)のGO:0061621 (canonical glycolysis)がアノテーションされた遺伝子群について検討した。

この論文で示した細胞の酸素消費量、解糖系代謝の代理マーカーである細胞外酸性度がRCC4-EV細胞においてそれぞれ抑制または亢進していることが判明した。 この現象の分子基盤を明らかにするためにRNA-seq法を用いてRCC4-EV細胞とRCC4-VHL細胞間の遺伝子発現をGene set enrichment analysisしたところ転写因子HIF-1 に依存するsignal pathwayが遺伝子セットとして同定された。 この結果を受けてさらに解糖系代謝のgene ontologyの発現に着目して遺伝子発現の変動を検討した結果がFigure 6bである。

何故このデザインの図にしたか

RCC4-EV細胞とRCC4-VHL細胞における、GO:0061621 (canonical glycolysis)がアノテーションされた遺伝子について発現の差を可視化したかった。 この目的の為には、例えばheatmapを描くという方法もあったが遺伝子数が19と比較的に少ないので個別の遺伝子について発現の比率を計算し示すという方法を採用した。 これによりRCC4-EV細胞とRCC4-VHL細胞での発現の差が可視化された。 この手法は、この論文のFigure 6c, Figure 7fとFigure 7gでも採用した。 特にFigure 6cの結果に基づきPDK1をsiRNAを用いて発現抑制する(Figure 8a, Figure 8b)という実験方針を策定することができた。

ワークフロー

workflow.png

計算機環境

MacBook Pro (Retina, Mid 2012) 2.7 GHz Intel Core i7 16 GB 1600 Mhz DDR3 SSD 751GB フラッシュストレージ

https://support.apple.com/kb/SP653

OS

OS X El Capitan (10.11.6)

使用するプログラミング言語・ツールとそのバージョン

  • Quality Check: FastQC : http://www.bioinformatics.babraham.ac.uk/projects/fastqc/
  • Trimming: FASTX-Toolkit v0.0.14: http://hannonlab.cshl.edu/fastx_toolkit/
  • Mapping: Bowtie v.2.2.93, Samtools v.1.3.1
  • Cufflinks (Cuffdiff) v2.1.1
  • gene set enrichment analysis(GSEA): Metascape (http://metascape.org/)
  • Histogram: TIBCO Spotfire Desktop v7.6.0 with the “Better World” program license (TIBCO Spotfire, Inc., Palo Alto, CA, USA) (http://spotfire.tibco.com/better-world-donation-program/)

データ入手先 サイズ

  • FASTQ files : RCC4-EV cells (DRR100656) and RCC4-VHL cells (DRR100657)

    • DRR100656.sra: ftp://ftp.ddbj.nig.ac.jp/ddbj_database/dra/sra/ByExp/sra/DRX/DRX094/DRX094089/DRR100656/DRR100656.sra
    • DRR100657.sra: ftp://ftp.ddbj.nig.ac.jp/ddbj_database/dra/sra/ByExp/sra/DRX/DRX094/DRX094090/DRR100657/DRR100657.sra
  • cuffdiffによる解析結果 gene_exp.diff: https://figshare.com/articles/Results_of_Data_analysis_of_RNA-Seq/5353462

描画用ソースコード

https://github.com/khirota-kyt/dry_analysis/tree/master/scripts

その他

論文で使用したfigureの作成は:TIBCO Spotfire Desktop v7.6.0 を用いて行ったが、同等の描画をJupyter notebookで行う為のソースコードを上記urlに格納した。以下にその結果を示した。

Appendix figure