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やねうら王のインストール手順

yaneurao edited this page Dec 3, 2024 · 46 revisions

やねうら王のインストール手順

やねうら王は、(詰将棋に特化したエンジンとかではなく)通常探索エンジンです。通常の将棋対局をして遊べます。

俗に「NNUE系」などと呼ばれるのはこれです。GPU(高価なグラフィックカード)がなくても遊べます。

💡 やねうら王は通常対局時にGPUを使いません。

俗に「DL系」などと呼ばれるのは「ふかうら王」です。こちらはdlshogi互換エンジンとなっています。

以下では、やねうら王のインストール手順について説明します。

1. やねうら王本体のダウンロード

やねうら王のGitHubReleasesのところからダウンロードできるようになっています。

2024年6月10日現在、最新版はやねうら王V8.30です。以下のリンクからダウンロードできます。

下図のところから…。

  • Macなら ⇨ yaneuraou-V830-git-mac-all.7z
  • Windows 32bit版なら ⇨ yaneuraou-V830-git-win32-all.7z
  • Windows 64bit版なら ⇨ yaneuraou-V830-git-win64-all.7z

をダウンロードしてください。

yaneuraou-V830-git-win64-learn-all.7zのようにファイル名にlearnと書かれているものは、定跡コマンドや学習コマンドが使いたい開発者向けの実行ファイルです。(ここでは使いません。)

💡 Windowsをお使いの方で、御自分のOSが32bit版なのか64bit版なのかがわからない方は、Windowsの「設定」⇨「システム」をクリック ⇨ 画面内の「システムの種類」と書かれた欄で、32bitか64bitかがわかります。(下図)

2. ダウンロードしたファイルの解凍

ダウンロードしたファイルを解凍(展開)してください。

ファイルは .7z という拡張子になっています。これは圧縮形式です。

Window 11 23H2以降の場合

Window 11 23H2以降であれば、この拡張子のファイルはOSの機能で解凍できます。(エクスプローラーで右クリックして「すべて展開」)

⚠ .7zのファイルをエクスプローラーからダブルクリックして開こうとしないでください。それは解凍ではありません。

古いWindowsの場合

Window 11 23H2より前のバージョン、もしくは、Windows 10以前のOSをお使いで、OSの機能で解凍できない場合は、7-Zipという圧縮・解凍ソフトをご利用ください。

👉️ Windows11 .7zファイル解凍方法と注意点:7-Zipの活用でスムーズな操作

macOSの場合

macOS 10.15 Catalina以降をお使いの場合、ダブルクリックで解凍できます。

それ以前のmacOSをお使いの場合は、別途The Unarchiverなど.7z形式のファイルを解凍できるソフトをご利用ください。

3. 解凍された実行ファイルの確認

以下のようなファイルが解凍されたはずです。

📁 source
my-uraou-git
YaneuraOu_KPPT-V830DEV_AVX2.exe
YaneuraOu_KPP_KKPT-V830DEV_AVX2.exe
YaneuraOu_NNUE_KP256-V830DEV_AVX2.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKPE9-V830DEV_AVX2.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP1024X2_8_32-V830DEV_AVX2.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP1024x2_8_64-V830DEV_AVX2.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_AVX2.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_AVX512.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_AVX512VNNI.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_AVXVNNI.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_SSE41.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_SSE42.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_ZEN1.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_ZEN2.exe
YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_ZEN3.exe
(略)

💡 📁 source はソースコードです。思考エンジンの実行には必要ありません。

💡 my-uraou-git(あるいはmy-uraou-dev) はビルド用のスクリプトです。思考エンジンの実行には必要ありません。

4. やねうら王の実行ファイルの選び方

.7zを解凍したら、似たファイル名のファイルがたくさん解凍されたと思います。

ファイルは、以下のルールで名前がつけられています。

  • 評価関数のタイプ 👉️ 評価関数のタイプに合わせた実行ファイルを選ぶ必要があります。(後述)
  • ターゲットとなるCPU 👉️ お使いのPCのCPUによって、適切な実行ファイルを選ぶ必要があります。(後述)

💘 Gitと書いてあるのは「GitHub版」だから、Devと書いてある「開発版」よりは弱いです。よかったら、GitHub SponsorsFANBOXから支援して、開発版を入手してくださいね。

5. 評価関数のタイプ

評価関数のタイプに応じた実行ファイルを選びます。

評価関数のタイプ一覧表

有志によって配布されている評価関数には、「この評価関数のタイプは標準NNUEです。」のような記述があるはずなので、それを参考にやねうら王の実行ファイルから適切なものを選びます。

例) 「標準NNUEです」と評価関数ファイルの配布先に書いてあるなら、以下の表から「評価関数タイプ」が「NNUE_halfKP256」であることがわかるので、この文字列が含まれているやねうら王の実行ファイルを選ぶ。

通称 評価関数タイプ 評価関数のファイル名
標準NNUE NNUE_halfkp_256x2_32_32 nn.bin
NNUE1024 NNUE_halfkp_1024x2_8_32 nn.bin
NNUE1024の末尾が64のやつ NNUE_halfKP_1024x2_8_64 nn.bin
NNUE512 NNUE_halfkp_512x2_8_64 nn.bin
HALFKPE9 NNUE_halfkpe9_256x2_32_32 nn.bin
HALFKPVM NNUE_halfkpvm_256x2_32_32 nn.bin
KP256 NNUE_kp_256x2_32_32 nn.bin
KPPT KPPT KK_synthesized.bin他
KPP_KKPT KPP_KKPT KK_synthesized.bin他

💘 GitHubでは上記の評価関数タイプ用の実行ファイルのうち、マイナーなものは配布していないかも知れません。その場合は、GitHub SponsorsFANBOXから支援して、開発版を入手してくださいね。

棋力順

有名な評価関数ファイルを棋力の高い順に並べました。

評価関数の名前 評価関数タイプ 備考
水匠10beta NNUE_halfkp_512x2_8_64 やねうら王支援者向けに2024年6月のふかうら王News Letterで配布。
2024年7月のやねうら王News Letterでも配布予定。
tanuki-wcsc34 NNUE_halfKP_1024x2_8_64 WCSC34優勝ソフト『お前、 CSA 会員にならねーか?』
有償9,800円
BURNING BRIDGES halfkpe9 NNUE_halfkpe9_256x2_32_32 やねうら王支援者向けに2024年4月のやねうら王News Letterで配布。
長い持ち時間で強い。
Hao NNUE_halfkp_256x2_32_32 無償で入手できるなかで最強。
NNUE_halfkp_1024x2_8_32 Haoとほぼ同じ棋力。序盤はHaoより強い。
tanuki-dr2 NNUE_halfkpvm_256x2_32_32 tanuki- 第2回世界将棋AI 電竜戦本戦バージョン。
『タヌキの為に鐘は鳴る』
tttak halfkpe9(20240313) NNUE_halfkpe9_256x2_32_32 halfKPE9の生みの親、tttakさんの最新作。
水匠5 NNUE_halfkp_256x2_32_32 たややんさんの水匠シリーズ。藤井聡太さんが使っていたことでも有名。
elmo(WCSC27) KPPT 名人を破ったPonanzaに勝ってWCSC27優勝。
魚沼産やねうら王 NNUE_kp_256x2_32_32 評価関数ファイルが1MB以下!
やねうら王 KPP_KKPT評価関数 KPP_KKPT 長らく公開していましたが、現在は公開を終了しています。

💡 計測は、やねうら王の互角局面の24手目から対局開始。1,2,4秒でそれぞれ3000局以上対局させています。他の開始局面(戦型)だとこっちのほうが強いだとか、長い持ち時間だとこっちのほうが強い、みたいなのはあると思いますのであくまで参考程度にどうぞ。

💡 パラメーター数の多い評価関数(≒評価関数ファイルのファイルサイズが大きい)は、NPS(1秒間に探索できる局面数)は少ないですが、大局観が優れていて、長い持ち時間になった時に強かったり、序盤が相対的に巧かったりといった特徴があります。

💘 『Hao』や『Lí』より強い評価関数が欲しい方は、GitHub SponsorsFANBOXから支援すると、時々送られてきます。

6. PCのCPUの型番を調べる

次に、お使いのPC(やねうら王を動かしたいPC)のCPUに合わせて、最適なやねうら王の実行ファイルを選ぶ必要があります。

例えば、お使いのPCのCPUがAVX2命令にまで対応しているとします。であるなら、AVX2命令対応のやねうら王を使うと最高のパフォーマンスが出せます。AVX2命令に対応したCPUでは、SSE4.2の命令にも対応しているので、SSE4.2用のやねうら王も動きます。ですが、最高のパフォーマンスは出せません。(探索速度が遅くなるのでその分だけ弱くなります。)

ですので、御自分のPCのCPUがどの命令にまで対応しているのかを確認し、それに合わせたやねうら王の実行ファイルを選ぶ必要があります。

そのためには、まず、あなたのPCのCPUの型番を調べなくてはなりません。

以下では、WindowsとMacとで、それぞれどうやって型番を調べ、どうやってそれに対応したやねうら王を選ぶかについて説明します。

Windowsの場合

Windowsの「設定」⇨「システム」をクリック。画面内に次のように書かれています。

上の例で言うと「AMD Ryzen 7 5700G」と書かれていることから、AMD製の「Ryzen 7 5700G」であることがわかります。AMDと書かれていなければ(普通は)Intel製だと思います。

AMDのCPUの場合

AMDのCPUであることがわかったら、次にCPUの世代を調べます。2024年6月10日現在、ZENの第一世代~第四世代までが発売されています。

例えば上の「AMD Ryzen 7 5700G」でしたら、「AMD Ryzen 7 5700G 世代」のようなワードで検索すると第三世代であることがわかります。

⚠ たまに嘘が書いてあるサイトにヒットします。

より正確に調べるには、Wikipediaを見ると良いでしょう。

例えば、上のWikipediaの「Ryzen」のページで「5700G」で文字列を検索(ブラウザでCtrl+Fで検索できます)すると、その直前に「Zen 3アーキテクチャ」と書かれているので第三世代のZENだとわかります。

💡 Zen+ というZen 1から改善された世代もあるのですが、一番改善されて欲しいPEXT命令に改善がなかったため、これはやねうら王では第一世代と同じ扱いをしています。ですので、Zen+世代ならば、第一世代とみなしてください。

💡 AMD APUのなかには、ZENの第一世代より前のものがあります。ZENと書かれていない世代の場合、ZEN1で動作しなければSSE4.2用、それで動作しなければSSE4.1用を選んでください。

また、ZENであることはわかっていて、そのどの世代かがわからなければ、ZEN1を選べば、とりあえず動きはするはずです。

以下の表から、適切なものを選んでください。

開発コード名 発売年 AVX2 AVX-VNNI AVX512 AVX512-VNNI 選ぶべきやねうら王
Zen以前 - × × × × SSE41
SSE42
Zen 第一世代 2017年 × × × ZEN1
Zen 第二世代 2019年 × × × ZEN2
Zen 第三世代 2020年 × × × AVX2
Zen 第四世代 2023年 × AVX512VNNI

⚠ やねうら王のAVXVNNI , AVX512 , AVX512VNNI 用の実行ファイルはまだ試験中で、十分にテストができていないので、環境によっては動かないかも知れません。もし動かなければAVX2用の実行ファイルをお試しください。

💡 ZENの第一世代ならやねうら王の実行ファイル名にZEN1、第二世代ならZEN2とついているものを選ぶのは、第二世代まではPEXT命令が異様に遅かったので、やねうら王ではこの命令をこれを使わないことによってパフォーマンスを稼ぐことにしたからです。関連記事👉️やねうら王のRyzen Threadripper 3990X最適化について

💡 ZENの第三世代以降はPEXT命令も改良され、使っても問題ないようになったので、使える拡張命令に応じたやねうら王の実行ファイルを選ぶのが良いでしょう。

CPUの型番から使える拡張命令を調べるには、以下のパソコン工房のページが綺麗にまとまっていて便利です。

👉️ AMD デスクトップCPU スペック・性能比較 - パソコン工房

IntelのCPUの場合

IntelのCPUの場合、どの拡張命令まで使えるかを調べる必要があります。

古い ⇦ SSE4.1, SSE4.2, AVX2, AVXVNNI , AVX512 , AVX512VNNI ⇨ 新しい

上記のどの拡張命令まで使えるか調べる必要があります。右側にいくほど新しく追加された命令で、AVX2の命令が使えるCPUなら、そこ以前の拡張命令であるSSE4.1とSSE4.2の命令は使えるという意味になります。

⚠ ただし、VNNIという文字列が含まれているものは、新しいCPUでもこの命令に対応していないことがあるので要注意。例えば、AVX512命令には対応しているが、AVXVNNIには対応していないようなCPUが存在します。

「CPUの型番」や「CPUの型番 SSE4.2」「CPUの型番 AVX2」などでGoogle検索をすると、大抵はIntelのサイトが検索結果の一番目に来るので、そのページの

命令セット拡張 Intel® SSE4.1, Intel® SSE4.2, Intel® AVX2, Intel® AVX-512

のように書かれているところを見ると、上の例ですとAVX-512まで対応していることがわかります。そこでAVX512用の実行ファイル(やねうら王の実行ファイル名にAVX512と書かれているもの)を用いれば最大限のパフォーマンスが得られます。

また、そのページで「開発コード名」と書かれたところの文字列でGoogle検索し、Wikiepdiaなどで調べて、AVX-VNNI(AVX2-VNNIとも呼ばれる)やAVX512-VNNIに対応していることがわかれば、それに合わせたやねうら王の実行ファイルを選べばさらに高いパフォーマンスが得られます。

参考のため、ここ近年のCPUの開発コード名とそれが対応する拡張命令セットについて以下に表にまとめておきます。

⚠ 情報の正確性を保証するものではありません。間違っていればこの記事の末尾の質問箱から教えていただけると幸いです。

一般向けCPU
開発コード名 発売年 AVX2 AVX-VNNI AVX512 AVX512-VNNI 選ぶべきやねうら王
Penryn 2008年 × × × × SSE41
Nehalem 2008年 × × × × SSE42
Westmere 2010年 × × × × SSE42
Sandy Bridge 2011年 × × × × SSE42
Ivy Bridge 2012年 × × × × SSE42
Haswell 2013年 × × × AVX2
Broadwell 2014年 × × × AVX2
Skylake 2015年 × × × AVX2
Kaby Lake 2016年 × × × AVX2
Coffee Lake 2017年 × × × AVX2
Skylake-X 2017年 × × AVX512
Whiskey lake 2018年 × × × AVX2
Amber lake 2018年 × × × AVX2
Cannon Lake 2018年 × × AVX512
Ice Lake 2019年 × AVX512VNNI
Comet Lake 2020年 × × × AVX2
Tiger Lake 2020年 × AVX512VNNI
Rocket Lake 2021年 × AVX512VNNI
Alder Lake 2021年 △*1 × AVXVNNI
Raptor Lake 2022年 △*1 × AVXVNNI
Meteor Lake 2023年 △*1 × AVXVNNI

*1 : P-CoreはAVX-512が使え、E-CoreがAVX-512に対応しないため、E-Coreを何らかの方法で無効化しないとAVX-512を使うことができません。E-CoreをBIOSで無効化できるのは、Alder Lakeの初期ロットのみです。また、途中のロットからはE-Coreを無効化してもP-CoreでのAVX-512が有効化できないように変更されたため、E-Coreを無効化してもAVX-512命令は使えません。よって、やねうら王では、これらのCPUはAVX-512命令は使えないものとして扱います。

⚠ やねうら王のAVXVNNI , AVX512 , AVX512VNNI 用の実行ファイルはまだ試験中で、十分にテストができていないので、環境によっては動かないかも知れません。もし動かなければAVX2用の実行ファイルをお試しください。

サーバー向けCPU
開発コード名 発売年 AVX2 AVX-VNNI AVX512 AVX512-VNNI 選ぶべきやねうら王
Nehalem-EP 2009年 × × × × SSE42
Nehalem-EX 2010年 × × × × SSE42
Westmere-EP 2010年 × × × × SSE42
Westmere-EX 2011年 × × × × SSE42
Sandy Bridge-EP 2012年 × × × × SSE42
Sandy Bridge-EN 2012年 × × × × SSE42
Sandy Bridge-EX 2012年 × × × × SSE42
Ivy Bridge-EP 2013年 × × × × SSE42
Ivy Bridge-EX 2014年 × × × × SSE42
Haswell-EP 2014年 × × × AVX2
Haswell-EX 2015年 × × × AVX2
Broadwell-EP 2016年 × × × AVX2
Broadwell-EX 2016年 × × × AVX2
Skylake-SP 2017年 × × AVX512
Cascade Lake 2019年 × AVX512VNNI
Cooper Lake 2020年 × AVX512VNNI
Ice Lake-SP 2021年 × AVX512VNNI
Sapphire Rapids 2023年 AVX512VNNI
Emerald Rapids 2023年 AVX512VNNI
Sierra Forest 2024年 × × AVX512VNNI

⚠ やねうら王のAVXVNNI , AVX512 , AVX512VNNI 用の実行ファイルはまだ試験中で、十分にテストができていないので、環境によっては動かないかも知れません。もし動かなければAVX2用の実行ファイルをお試しください。

macOSの場合

まず、CPUのシリーズ名を調べます。

画面の左上隅にあるAppleメニュー(🍎リンゴ型のマーク)から「このMacについて」を選択します。

【概要】のところに「プロセッサ 4.2GHz Intel Core i7」のように書いてあります。この場合、「Intel Core i7」がCPUのシリーズです。CPUの型番まではわかりませんが、とりあえず、ここが「Intel」となっているものは、IntelのCPUが使われているMacです。Apple M1などとなっているものは、M1以降の(ARM系の)Macです。

  • CPU が Intel系なら、やねうら王の実行ファイル名にAPPLESSE42(SSE4.2以降用)かAPPLEAVX2(AVX2以降用)と書かれているものを選んでください。AVX2に対応しているなら、後者を選んだ方がパフォーマンスが高いです。どちらを選べば良いかわからなければ、まず後者を選び、それで動かなければ前者を選べば良いでしょう。

  • CPUがM1以降であるなら、やねうら王の実行ファイル名にAPPLEM1と書かれているものを選んでください。

  • ⚠ macOSの場合、インターネットからダウンロードした実行ファイルを初回実行するときに警告ダイアログが表示されます。 この対応方法については、Apple公式ページの開発元が不明なMacアプリを開くをご覧ください。

7. フォルダ配置

以下は、やねうら王(V8.30) 標準NNUE評価関数の構成例です。

任意のフォルダ(「ドキュメント」等、お好きなフォルダ)で以下のようにフォルダを構成してください。

- 📁 YaneuraOuV830 (フォルダ名はなんでも良い)
  - 📁 book
    - 📄 standard_book.db (やねうら王の標準定跡ファイル形式の場合)
    - 📄 book.bin (Apery定跡ファイル形式の場合)
  - 📁 eval ⇦ 評価関数は eval という名前のフォルダを作ってそこに配置する。
    - 📄 nn.bin (標準NNUE評価関数の評価関数ファイル。水匠5など。)
    - 📄 eval_options.txt (有志の公開している評価関数ファイルにこのファイルが付属していればこのファイルも"eval"フォルダに配置する。なければないで問題ない。)
  - 🗒️ YaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_AVX2.exe (やねうら王標準NNUE型の実行ファイル、AVX2用。)

💡 つまり、やねうら王の実行ファイル(上の例ではYaneuraOu_NNUE_halfKP256-V830DEV_AVX2.exe)と同じフォルダにevalというフォルダがあり、そのなかにnn.binというファイルが配置されている状態にします。

🖋 eval_options.txtは、その評価関数ファイルに関連するエンジンオプションの設定をするために、評価関数ファイルと一緒に配布されていることがあります。その場合は、上図のように eval フォルダ内に配置しましょう。

以上で思考エンジンと評価関数の用意ができました。

8. 起動確認

実行ファイルを単体起動して、ベンチマークが完走するか確認します。

💡 この手順は行わなくとも問題ありませんが、将棋AIのGUIでは、思考エンジンが正常に動作しない時に「初期化エラー」としか画面に出さないので原因が特定できません。そこで、この手順を踏むことを強くお勧め致します。

Windowsの場合

まず、エクスプローラーからダブルクリックで実行ファイルを起動してください。

  • 「WindowsによってPCが保護されました」のダイアログが出る(次図) 👉️ 「詳細情報」をクリックし、そのあと「実行」をクリックして実行を許可してください。
  • セキュリティソフトのポップアップが出る 👉️ セキュリティソフトが怪しい実行ファイルだと判断して隔離した可能性があります。セキュリティソフトのセーフリストに入れるなどして起動する状態にしてください。

  • 画面に変化がなく起動しなかった 👉️ セキュリティソフトが怪しい実行ファイルだと判断して隔離した可能性があります。セキュリティソフトのセーフリストに入れるなどして起動する状態にしてください。

  • 起動直後に(文字を入力する前に)エラーが出る(下図) 👉️ CPUの対応していない命令を実行したのだと思われます。実行するファイルを間違えています。CPUの型番を調べ、ターゲットCPUとして正しい実行ファイルを選んでください。

  • それ以外のエラー 👉️ どんなエラーが出たのか質問箱に詳しく書いて質問してくださいね。

起動したら、

bench

と入力してエンターキーを押しましょう。

上の画面では、nn.bin (評価関数ファイル)を読み込みに行こうとして、そのファイルが読めなくてエラーになっています。

このエラーが出た場合、以下の2つの原因が考えられます。

  • 実行ファイルを配置しているフォルダにevalというフォルダがあり、そのなかにnn.binが配置されているかをいま一度確認しましょう。

  • 評価関数ファイル(nn.bin)に対応したやねうら王の実行ファイルを選んでいない可能性があります。 例えば、標準NNUEの評価関数ファイルに対しては、halfKP256と書かれた実行ファイルではなく、KP256と書かれた実行ファイルを選んでいるだとかです。

💡 ファイルが存在しなかったのか、評価関数ファイルの種類が間違っているのかがいまひとつわかりにくいですね。やねうら王V8.31からは、ファイルが存在しなかったのか、ファイルの種類が間違っていたのかがわかるエラーメッセージになります。V8.30までは上記のエラーになります。

また、次図のようにcan't alloc enough memoryと表示された場合は、メモリが確保できなかったということです。(32bit OS用だとわりと起こり得ます。) ベンチマーク用にはデフォルトで1024MB(1GB)を確保するようになっていますが、このように出た場合は、bench 16(ベンチマーク用のメモリ16MB)としてベンチマークが完走するか見てみましょう。これで完走した場合は、実際に使う時に思考エンジンオプションのUSI_Hashを小さめの値(16~256ぐらい)にしないとメモリが足りなくて思考エンジンが動作しないでしょう。

ベンチマークは1分ジャストで完了します。次図のような表示になれば完走したということです。

以上で思考エンジン単体での起動確認ができました。

quit

と入力してエンターキーを押して思考エンジンを終了させてください。(ウィンドウ右上の×ボタンで閉じても良い。)

macOSの場合

🚧 かきかけ。⇑のWindowsの手順を参考に、benchが完走することを確認してください。ただし、Finderから起動した場合、CWD(実行ファイルにとっての作業ディレクトリ)が実行ファイルの存在するディレクトリになっていないため、評価関数の読み込みに失敗します。ターミナルを起動して、cdコマンドでやねうら王の実行ファイルのあるディレクトリに移動したあと、そこで .YaneuraOu(適切な実行ファイル名) としてやねうら王を実行し、⇑の手順のようにbenchコマンドを入力します。ベンチマークが完走したらOKです。

9. 将棋AI用のGUI

次は、将棋AI用のGUIをインストールします。

それを将棋の思考エンジン用のGUIの思考エンジンとして選んであげれば使えます。代表的なGUIには、以下のものがあります。

お好きなものを以下のサイトからダウンロードしインストールして、「エンジン登録」から、以上⇑で用意したやねうら王の実行ファイルを登録してお使いください。

GUI名 対応OS floodgate対応 オープンソース 特徴
ShogiHome Windows、Linux、macOS 洗練されたデザイン。
タブレット端末対応。
ShogiGUI Windows × × 定跡編集機能、検討機能など高機能。
将棋所 Windows、macOS × 歴史があり、動作が安定。

🧡 やねうら王プロジェクトでは、ShogiHomeをお勧めしています。

10. やねうら王の思考エンジン設定

やねうら王の思考エンジン設定については、

をご覧ください。

11. その他の情報

その他の評価関数ファイルの探し方

多くの開発者の方が評価関数ファイルを公開されています。

2024年現在、将棋ソフトの大会には以下の2つの大きな大会がありますが、その参加チームの開発者のツイッターやブログを見ていると公開されていることがあります。

定跡ファイルのダウンロード先

評価関数ファイル同様、多くの開発者の方がやねうら王で使える定跡ファイルを公開されています。SNS等を活用して、開発者を追いかけてみてくださいね。

💘 また、やねうら王プロジェクトにGitHub SponsorsFANBOXから支援すると、時々最新の定跡ファイルが送られてきます。(毎月は送られてきません)

やねうら王プロジェクトで公開している定跡ファイル

やねうら王プロジェクトでは、以下の定跡を公開しています。

💡 2017年以前に作ったものなのでいまとなっては実用性は今ひとつかも知れません。

ファイル名 内容
standard_book.zip やねうら王 標準定跡
yaneura_book1_V101.zip やねうら大定跡
yaneura_book3.zip 真やねうら王 定跡

ダウンロード先 : https://github.com/yaneurao/YaneuraOu/releases/tag/v4.73_book

🖋 使い方

.zipファイルを解凍すると、standard_book.db のような拡張子が.dbとなっているファイルがあるはずです。それを思考エンジンの実行ファイルと同じフォルダにbookというフォルダを作成して、そこに配置します。

そのあと、やねうら王の思考エンジンオプションのBookFileにて、standard_book.dbを選択します。

定跡関係のエンジンオプションについて詳しくは以下の説明をご覧ください。

12. 質問箱

やねうら王のインストール手順についての質問は、以下のブログ記事のコメント欄にお願いします。

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